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――では、少し現実的な話で恐縮ですが、実際にアニメーターになってもらえる収入というとどのぐらいになるのでしょうか?
上野:それはもうバラバラですが、一人で一本(1話分)の作品を抱えるようになれば一般のサラリーマンよりもよっぽどもらえますよ。作業スピードの速いアニメーターさんも中にはいますが、それは一部の人たちだというのが本当のところ。その他のアニメーターたちは世の中の平均以下だと考えておいてもらった方がよいと思います(ちなみに私は後者です)。それを分けるのは、自分の名前でクライアントから仕事をもらえるようになれるかどうかということ。その場合クオリティーが優先されるようになりますから大変ですけど。キャリアをスタートさせた当初は、基本的に来た仕事は断らないようにしないとね。一日のスケジュールのうちに、これだけは絶対に仕事をするという風に組んでしまえば楽だと思いますよ。それが上から認められるための近道になっていきますから。
――若いうちは苦労しておきなさいと(笑)
上野:若いうちは耐えられるんですよ、まだ「好きだ」という気持ちで突っ走れますからね。それが次第に仕事としてアニメを扱うこととの葛藤だとか、自分の能力の限界の問題とかにぶつかっていくんです。僕の場合は30歳前後が一つの伏目になったと思います。そこを超えられれば、遊ぶお金には困らない程度にはなりますし、ちょっと華やかな世界も見られるわけですよね?この業界にやってくる人が何を求めてきているのか、ということにもよると思いますが、やっぱりテレビや雑誌に名前が出る仕事はあまり他にはありませんよ。ともあれ収入の問題は充分覚悟しておいた方がよいと思いますけどね(笑)。
――普段の生活のスケジュールはどんな感じでしょうか?
上野:僕はフリーですから、基本的に全部自分で決めています。土日は絶対に休むと決めてしまえばその通りになりますが、休まない、休めないという人もいるのは確か。休まなくても、好きでやっている人が多いから苦にならないんじゃないかな。でも一つはっきり言えるのが、一般の人たちと休みが合うことは少なくなりますよ。お盆や正月というのはこの業界は一番忙しいシーズンですからね(笑)。まあ収入の話とも絡んできますけど、全て自分次第ですよ、結論を言っちゃうとね。
――好きなだけじゃやっていけないけど、好きじゃなければやっていけないと。
上野:良いこといいますね〜(笑)。それ、書いておいてください。
――ちなみに、一番やりがいを感じるときはどんなときですか?
上野:難しいんですよねー。まあ恐らく皆さんも何らかの達成感を感じたときに、それがやりがいとなるんでしょうね。僕も仕事としてやるわけですから、やっぱり自分の手がけた作品が無事公開されて、興行収入もそれなりにあがり、国民的アニメーションとして評価をされれば、それまで徹夜が続いていても、それなりに報われたという思いにはなります。もちろん成功例ばかりじゃないけどね。でも自分が関わった作品を見た子供たちが、10年、20年後、「あの時の作品を見ていました!」と言ってアニメーターを志してくれれば、それが一番うれしいケースなんじゃないかな。だから本当の「やりがい」というのは今すぐじゃなくて、ずっと後になってやってくるのかもしれないですね。
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